Walk Trekking Climbing


健康と歩くこと(バランスについて) 
 
1. 健康とはなにか?
 
健康とは、心身共に元気で健やかで丈夫で、それでいて健全であることですか?理屈はそうですが、やりたい事があって、それが楽しみであって、身体にも異常がほとんどない状態と置き換えても良いのではないでしょうか?
 そもそも非健康な人の生活は、とてもバランスの悪いものです。人間は、人間である以前に動物です。動物は、動くモノ。人間とて動けなくなったら惨めなものです。
 快適な生活は、動かなくてもよい環境をつくっています。私たちは、便利な生活に慣れ、身体を動かさなくてもよいという結果を生んでしまっています。このことによって、人間は身体を動かさず、年齢を増すと部屋に閉じこもりがちになります。この結果、すべての
バランスが崩れ、骨粗鬆症や他の病気を作りやすい環境を自らつくってしまっているのです。
 では、健康を取り戻すにはどうしたらいいでしょうか?それは、誰にでもできる"歩く"ことです。歩くことは、お金も掛からず急激な無理もありません。歩くことによって、身体の機能の回復と精神的なものの回復もできるのです。


  2. 中高年の健康状況と予防対策
 
成人病や生活習慣病は、食べすぎ・飲みすぎで動かないという習慣が、肥満・高血圧・糖尿病・通風などの原因になっています。また、癌・脳卒中・心臓病などの危険性をはらんでいます。
 これらの予防対策として、食生活の見直し・運動・休養を行い、喫煙や飲酒を控えるなどの改善が必要です。
●食生活の見直しには、脂肪や食塩の取りすぎを控え、カルシウムを取るようにします。
●適度な運動は、心肺機能を高め、高血圧・動脈硬化・糖尿病などに効果があると言われます。
予防対策は、上記のことを考えた生活をすることです。
 

 3. 歩くことと歩き方
 
歩くといっても、闇雲にあるいたのでは効果が半減します。効果の高い歩き方を考えましょう。
●息が少し弾む程度に歩きます。
●自分に合った歩き方をします。
●背筋を伸ばして、少し腕を振って歩きます。ただし、振りすぎると速く歩きすぎます。腕の振りは、足と連動しています。全身をリラックスし、肩に力が入らないようにします。
●膝から下は、振り子のように前に投げ出します。
●足の裏は、踵から接地し、親指の付け根(母子球)で少し蹴るように、踵から母子球へのラインを
意識します。スムーズに足の音がしないようにするのが無駄のない歩きといえます。
●できるだけ前方を見ます。足元を見ていると姿勢も悪く、危険察知も遅れます。
●慣れてきたら、積極的に階段などの起伏のあるところを歩きます。階段を登る時は、足の裏全体を着けず、母子球を意識して筋力で身体をスムーズに上げます。(バランスをとって)下りは、ドンドンと降りずに、筋力を使い柔らかく着地します。降ろした足よりも、上にある足の筋力で支えます。この練習をすることで、山道などで膝割れ(通称:膝が笑ってしまう)を防ぐことができます。
最初から無理をしないで、徐々に高めてきます。歩く時間、歩く距離、歩く速さなど。1日30分から1時間が目安です。歩数も7000歩から1万歩ぐらいが目安です。2日に1回の割合でも効果は持続されます。注意しなくてはならないのは、疲労を蓄積しないことです。
●歩く前や後では、軽い体操をします。ストレッチといっておりますが、首・腕・腰・足などの関節を伸ばしておきます。
●できるだけ自然がある場所を選びます。季節の匂いや変化を見るのも楽しみです。
●交通事故に遭いにくいコースを選びます。他にも危険な場所へは近づかないようにしましょう。
●歩く目的を見つけます。自然の空気を吸う。他の歩いている人から刺激をもらう。スーパーなどの買い物場所へ歩いて行く。違うスーパーに行く。季節の移ろいをカメラに収める。などなど自分で考えるのも楽しみですし、近所の地形にも明るくなります。また、新しい発見もあります。

 4. ダンベル体操の勧め
 
ストレッチ体操をするだけでも効果は大ですが、もっと効果を上げる方法にダンベルを使ったストレッチがあります。テレビを観ながらでもできます。
●横に振る運動。これは、腰の運動に最適です。
●前屈です。ダンベルの重さが手伝って少しずつ足や背筋を伸ばします。続けていると、ダンベルなしで手が地面に着けるようになります。
●ダンベルを両方ともお尻に回し、背筋と腕の力でダンベルを持ち上げます。普段使わない腕の裏側と背中の背筋をストレッチすることができ、同時に筋力アップにも繋がります。
●スクワットです。ダンベルを持ちながら屈伸運動をします。足の筋力アップに繋がります。また、片足スクワットができるようになります。最初はテーブルなどにつかまって行います。慣れてきますと、両手でバランスをとり、片足スクワットができるようになるかもしれません。
●ダンベルには、1sから10kgぐらいまであります。自分に合ったものを選びましょう。軽いものを体操やストレッチとして使用し、重いものを腕の筋力アップに使用するという分け方もできます。
●この他にも工夫しだいで、色々とできます。


 5. バランスについて
 
医食同源という言葉があります。病気をなおすのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためで、その本質は同じだということ。を言っています。

 運動にもバランスとリズムとタイミングがあります。この三拍子が揃っていないとどうも上手く行かないようです。例えば、ゴルフのスィングですが、力まさせに振ってもあまり飛びません。運動にはもう1つフォームというのが大切ですが、唯の格好よさだけではないようです。フォームはバランスによってできています。また、運動ですから綺麗なリズムがあります。このバランスとリズムがあり、タイミングがジャストであった時、はじめてまっすぐ遠くへ飛ばすことができるのです。

 私たちの身体もこの3拍子でできています。病気や体調を崩している人がいたとしたら、この3拍子が崩れいるという心当たりの方もいるでしょう。人間は、知能の動物ですが、怠慢な動物でもあります。最低限動かしていないと退化してしまう現状を見つめてみることです。

 不思議ですが、絵画や写真、音楽や科学などもこの3拍子が大切な要素になっています。たとえ絵画や写真のように静止しているモノでも、そこに描かれている画面構成(構図)によって3拍子が生まれます。例えば、富士山をど真ん中に構図して写真を撮ったとします。これを通称日の丸構図と言っておりますが、最初はど真ん中なので安定感を覚えます。しかし、しばらく眺めていると、どうも息苦しさを感じるようになります。それは、画面構成でのバランスとリズムがないことです。富士山を中心から少しどちらかにずらして構成すると、空間が3つになります。ここで@ABというリズムができたことになります。私たちは、常日頃カレンダーなど静止画像を見る機会が多いですが、その中で「おっ!」という画像を見たとき、また、カレンダーで「いつまで見ても飽きないね」という画像を感じた時、意識してみてください。この3拍子を。
 

レッキングの装備と服装
 
1.街の散歩から高所登山まで

歩くということは
、人類が移動する手段としての最も基本的な動きです。その昔、人類は400万年前、東アフリカに誕生したと言われ、百数十万年前、アフリカからアジア、そして氷河期に陸続きとなったベーリング海峡を越え、極北の地を経てアメリカ大陸へと進み、南米大陸最南端のパタゴニアへと到達しました。コロンブスがアメリカ大陸を発見する1万年ほど前のことです。この東アフリカから南米大陸へと続いた人類の大遠征は、5万キロにおよぶ壮大な歴史ロマンでもありました。
私たちの祖先は、どこで生まれて、いつ歩いてここまで来たのでしょうか?

昨今、文明が発達し、歩くという基本動作を忘れているような気がします。考えてみれば、歩くことによって身体と心身のバランスとリズムが保たれているような気がします。昔の人は、人間足腰から衰えると言いました。もしかしたら、現代病は歩くことを止めたことから始まっているのかもしれません。

歩くことといってもたくさんあります。街の散歩からハイク(ハイキング)は精神的ストレスから開放され、心地よい運動によって新陳代謝を促し、血液の循環と酸素の取り入れなどが伴い、急激な運動でない限りよい結果が生まれます。

これに比べて、登山という行為は、スポーツですし、極所登山となると冒険になります。沢登り、岩壁の登攀、雪山、海外遠征など成功するためには、充分な計画と鍛錬が必要です。海外トレッキングとうたっているツアーでも、空気が乾燥していて、3000mを過ぎると高山病の兆候が現れてきます。ヒマラヤやアンデスなどの高山トレッキングでは、体調を万全にしておかないと大変なことになってしまいます。

少なくとも登山ができる人は、体力、気力、洞察力がある人に限られます。急変する天候への対処、疲労困憊している仲間を見て、次に取るべく対策を瞬時に判断する能力、怪我や突発的な事故に対する対処など登山には必要不可欠です。
では、トレッキングとは登頂を目指すのではなく、山麓をのんびり楽しみながら旅をすることに他なりません。そもそもトレック(trek)とは、ゆっくり旅行するという意味です。ハイキングとは、徒歩旅行のことです。

 2.街のハイクと山のハイキングとの違いによる装備

街を歩くには、寒さとか暑さを考えて運動靴などでOKです。いざとなればどこでも逃げられますし、救急車も駆けつけてくれます。これに比べて、トレッキングともなれば、場合によっては誰もいない何もない状況下で歩くことになります。いくらお金があっても使えません。もっと良いものを買っておけば良かった!と嘆いても仕方ありません。かと言って、何でも最高級のものを揃えたらいいかというとそうでもありません。必要最低限、これが山の哲学です。代用するものはどれでも代用しますし、無駄なものを持っていかないようにします。できるだけ軽く、しかし万が一を考えて持って行くべきものは持って行きます。

服装3つのリズム

「下着・中着・上着」の3つ。下着は、肌に直接着いている物。トレッキングをすると汗をかきます。その汗をできるだけ早く乾かしてくれる素材のもので、薄手のモノを選びます。季節や気温などによって、パンツ、Tシャツタイプ、長袖タイプ、ズボン下タイプなどを着けます。オーロン、ポリプロピレンなど。
中着は、薄手で保温性があるもの。もちろん、速乾性の素材を使います。フリースも暖かいのですが、かさばりますので薄手のフリースにするか、あまり厚いものは避けます。これは長袖が厳守です。
外着は、雨や風を遮るもので、かいた汗など中で蒸れないものを選びます。少し値が張りますが、ゴアテックスのものであればいいでしょう。
これでも寒いという場合は、中着と外着の間に薄手のインナー(羽毛)を着ます。撮影のため、寒い中でしばらくいる時などに使います。インナーの羽毛服は、軽くコンパクトになるのでとても便利です。この他に、首を巻くものがあるととても暖かく感じます。代用として、小さめのマフラーかイヤーバンドをそのまま首まで降ろして使います。


トレッキングブーツ(足元)

上下3つのリズムは、「服装・靴・頭と手」です。どれも大切ですが、靴は服装とともにとても重要な部分です。購入する際にもっとも注意しなくてはならないのは、自分の足に合っていることです。靴擦れや当たって痛い箇所があると、歩くのが嫌になってしまいますし、怪我の元です。選ぶポイントは、あまりきつ過ぎなく、遊び過ぎないくらいのもので、つま先が靴の先端に当たっていないこと。指が少し遊んでいるもの。くるぶしより少し上に覆うもの。軽くて丈夫なもの。ゴアテックスで雨などが靴の中に進入しないものを選びます。お店で実際に履いてみて、充分時間を掛けて選ぶようにしましょう。一般にトレッキングシューズとして発売されているものでよいでしょう。靴の重要性は、下山の時に分かります。


トレッキング後は、汚れを落とし、陰干しで乾燥させます。直射日光を当てたり、強い熱を加えて乾燥させると寿命が極端に少なくなります。靴は手入れや保管の仕方で退化してゆき、トレッキング中に靴底が剥がれるというアクシデントにも見舞われます。よく観察してみるとその前兆が見えます。そのような時は、思い切って買い換えるか、底を張り替えられるものであれば、張り替えておきましょう。山の中で大変な思いをすることを考えれば、安いものです。

手袋と帽子

夏でも山では、朝晩寒く、風があると体感温度はかなり寒くなります。軍手一足あるだけで随分違います。できれば速乾性のものがあるといいでしょう。
春や秋は、みぞれになったりします。このような場合は、大き目のゴム手袋を用意します。薄手の手袋の上にゴム手袋をはめると手がかじかんだりしません。
冬は、防寒用の手袋が必要です。大きめのスキー用手袋でも充分です。インナーに速乾性の薄手の手袋をします。待っている時や大まかな操作をしているときなどは防寒用の手袋のままでいて、細かい操作をするときだけインナー手袋で操作します。−20℃くらいになると素手を出すと体温が戻りません。外した防寒用手袋は風に飛ばされないように工夫します。
帽子も季節によって替えます。夏は直射日光を避けるために使用し、雨の日はレインハットを使います。レインハットは、風防を着ける必要性がなく、暑くならないし、邪魔にもなりません。寒い季節では、防寒と風除けのために防寒用の帽子を使います。耳宛やあごの部分で留められるものは、強い風でも飛びません。

ザックとザックカバー(ディパック)、カメラザック

ザック(ディパック)の選び方は、背中にフィットするもので背負いやすいものを選びます。大きすぎず、小さすぎないのが理想です。小さいからとかの理由で、やたらとザックの外にコップなどをぶら下げている方を見かけますが、枝や岩に引っかかってとても危険です。手に持つのはストックだけにして下さい。あとは全部ザックに収まるようにします。パッキング(荷物の詰め方)は、軽くてかさばるものを下に重いものは上にします。また、よく取り出すものも上にします。水筒や嗜好品などは上に入れておきます。ザックカバーは、雨が降ったらザックを雨から守るために覆います。カメラや三脚を持つ場合は、カメラザックが便利です。撮影したいところで直ぐ取り出せますし、大切なカメラを保護します。大きさもいろいろ揃っています。

その他の装備
:以下のような道具が必要です。ヘッドランプ・常備薬・救急薬品・携帯電話(無線機)・ライター(マッチ)・携帯ラジオ・ストック・予備電池・保険証・ペン・ノート・地図・コンパス・水筒・非常食・サングラス・洗面用具・スパッツ(場所によって)・嗜好品など。



 計画と準備(前もってすること)
 
1.計画(予定)を立てる

さて、街で充分歩いてきましたら、今度は自然の豊かな良い場所を見つけ、自分の現状を鑑みて行く場所を決めます。決まったらどのような流れで計画を実行させていくか?順を追って説明します。
  1. 選択した場所の情報を得る。地図やガイドブックを購入し、その山や場所の特徴や危険な箇所、季節による弊害、交通機関の状況などを調べます。
  2. その結果、自分に合った山(場所)であるかどうか、再度確認します。
  3. できるだけ単独でないように、仲間を募る。できれば、山の経験者(信頼できる人)が同行してくれると心強い。
  4. 自分で計画書を作成してみる。余裕をみたタイムテーブルを作り、途中でアクシデントがあった場合などは、エスケープルート(逃げる)なども考慮に入れる。(タイムテーブルを作成する際、地図の歩行時間に自分の力量を上乗せする必要がある。余裕で歩く山は、実に楽しいし、危険性も少なくなる)これを見本に登山計画書を作成する。
  5. 行く場所が山である場合、早く行動し、早めに山小屋に着くか、帰宅するようにする。山小屋などへ暗くなってから着くのは、危険性も高く、山小屋からも嫌われる。山小屋によって最悪の場合は、泊めさせてくれない可能性さえある。早立ち早着きは山での鉄則
  6. どのような山に行くかいつの季節でどのような状況が待っているかで、装備も変わる。装備は必要最低限。必要なものは、必ず持って行き、不必要なものは持っていかない。代用できるものは、賢く代用する。自分の体力に相応しない荷物は、行動を鈍らせ、危険性も増す。
  7. 装備は、最悪の状況を予知して持って行く。雨具は必需品。ゴアテックスのスーツは、風除けにもなる。
  8. 自分流の装備表を作る。季節や日帰り、小屋泊まり、テントなどのように分け、分類してチェックを入れられるようにする。持ったものとまだのものを確認する。
  9. 出発日前日までできるだけ多く歩いたり、筋力をつけるようにする。(急激な運動は良くない)
 
2.装備表(参考品)

装備品 帽子 日除け用。雨用。防寒用(耳を隠せるものがベスト)など季節や状況によって変える。
登山靴 防水の利く軽登山靴以上。くるぶしまで覆うタイプ。あまり重くないものが良い。
靴下 薄手、厚手。登山靴に合わせて。予備も含む。
ズボン 伸縮性があり動きやすいもの。濡れた場合に薄手の着替えズボンも。
長袖シャツ 保温性のあるもの。薄手と少し厚手。季節によって必要かどうか判断する。
半袖シャツ Tシャツ、ポロシャツ類。速乾性の素材が快適。
セーター ウールセーター、フリースジャケットなど。季節によっては要らない。
羽毛服 厚さはトレッキング内容による。少し大きめで、お尻まで隠せるものがベスト。季節によっては要らない。最近では、インナー用として軽量コンパクトなものがある。
雨具 上下セパレート型が最適。ゴアテックスなど、防水性と透湿性をわせもった素材であればウィンドヤッケとしても兼用できる。折畳傘があると便利。
手袋 防寒用。防水用(少しの雨でも手がかじかんでしまう)
スパッツ ぬかるみの泥除け、登山靴への雪の除去に。ロングスパッツが最適。
ストック バランス保持に。ダブルストック。あまり頼りすぎても良くない。
洗面用具 タオル、トイレットペーパー。
個人用医薬品
救急用品
常備薬。風邪薬、鎮痛剤、下痢止め、常備薬、日焼け防止クリーム、リップクリームなど。空気が乾燥している土地では、のど飴やうがい薬。防虫スプレー、貼り薬など。
筆記用具 ボールペン、小ノート。(メモを取ると何かと便利)
地図 目的地の地図とコンパス。ラジオによる天気予報の確認。
携帯電話 緊急時の連絡を取る場合に必要。
サングラス 紫外線を充分カットできるもの。残雪期は特に。
水筒 トレッキングにより、1リットルから2リットル。季節によって、テルモス(魔法瓶)は便利。
懐中電灯 手を離せるヘッドランプが最適。予備電池、電球も持って行くこと。
ザック トレッキングによるが、トレッキング中に貴重品、雨具、防寒具などを入れて自分で背負うもの。大き過ぎず、小さ過ぎないもの。背負いやすいもの。
食事・行動食 3食の他に、行動中のエネルギー補給の為の行動食を持参する。
嗜好品 嗜好品 口に合うもの。塩分、糖分、スポーツドリンクがあるとバテない。体力に自信のない人はアミノバイタルなども考えられる。

3.登山計画書(例)

山 域 那須岳
日 程 2003年9月3日水曜日(日帰り)
計画ルート 西生涯学習センター7:00出発→バス→那須岳・峠の茶屋(9:00)⇒徒歩1:00⇒峰ノ茶屋・休憩(15分)⇒茶臼岳山頂(11:30)撮影(13:00)⇒峰ノ茶屋(13:45)⇒峠の茶屋・駐車場(15:00)→西生涯学習センター(17:00)解散。
メンバー
  名前 年齢 住所 緊急連絡先
リーダー 鈴木 39 東京都**** 鈴木**(妻) TEL××-××××
サブリーダー 西*** 65 下館市**** 西**(夫) TEL××-××××
  田中*** 73 下館市**** 斉藤**(妹) TEL××-××××
装備・食料 各自昼食持参。行動食1日分+非常食 ガス3人で1個 
エスケープルート 茶臼岳→ロープウェイ→那須岳山麓駅
備考 携帯電話 090*******(畠山本人)

4..山でのルール

 山でのルールを守りましょう!これは、山での危険回避や、人道的にも守らなくてはならない事項です。以下のルールを守らない人は、山に登ってはいけません。

登り優先 基本的に登り優先で、下りの人は、登る人を待ちます。登る人が、「良いですよ」と言ってくれたら、下りましょう!登りの人は、リズムで登っています。苦しい呼吸と足元を見て登っているため、視界があまり利いていません。また、臨機応変に安全を意識した配慮が必要です。
自己責任 山へ登るという行為は、自己責任です。自分の体調が悪いのに無理をして登ってはいけません。疲労困憊になる前に、事前に状態を同行者に伝えましょう。また、他人をあてにしてはなりません。自分の足で登った山は、自分の足で降りなければなりません。荷物を持ってもらったり、水をもらったりするようでは、いけません。落石は、絶対起こしてはいけません。
危険回避 危険だな!と感じたら近寄らないことです。万が一、落石を起こしてしまった時は、「落〜!!(ラクー)」と大声で下にいる人へ叫ぶ(連絡する)義務があります。それによって、下の人は落石を回避することができるかもしれません。ちょっとした油断が事故や死亡につながります。
登山届けを出す 登山届けを出しましょう!それが無理であれば、家族などへ計画書のコピーを渡し、計画を延長するようなことがあれば、山行中でも連絡が取れるようだったら、連絡をします。
ゴミは持ち帰る 美しい自然を愛さない者は、そのような場所へ行く資格がありません。
採取をしない 高山植物などの貴重なものを採取すると、自然体系が変わり、美しい風景を後世に残すことができなくなります。
リーダーの責任と
団体行動
リーダーは、安全を第一に考え、同行のメンバーの力量を把握して、その一番弱い人を中心に行動を考えなくてはなりません。また、同行者は、リーダーに従い力を合わせて行動すべきです。団体行動では、身勝手な行動は慎まなくてはなりません。
挨拶をしよう 道を譲ってもらったり、待ってもらったりしたら必ず「ありがとう」の挨拶をしましょう。それでなくとも、山では一般的に、「こんにちは」とすれ違いの時に挨拶する習慣があります。
保険に加入しよう 万が一のために、山岳保険に加入しましょう。山岳は、民間の場合が多く、捜索費用など莫大な金額を要求されます。一般の保険では降りない場合が殆どです。

6.山での食事と行動食、そして非常食

日帰りの場合 朝食をしっかり取りましょう。昼食はおにぎりが良いですね。おにぎりは直ぐにエネルギーになります。また、あまり休めなかったり、雨の場合など行動食にもなります。
行動食はエネルギーの補給が目的です。直ぐにエネルギーになる糖分と汗によって放出される塩分を補います。糖分としてチョコレート、甘納豆、バナナ、ミルクキャラメルなど。塩分として梅キャンデー、梅干(携帯用として販売している)など。汗を掻いた後の補給として、スポーツドリンク、栄養補助食品(カロリーメイト、ゼリー、アミノバイタルなど)、小さいサイズのマヨネーズ、蜂蜜などが便利です。また、くだものは味覚と水分の補給になり、ビタミンCなどの補給もできますが、持ちすぎには注意しましょう。
非常食は、行動食を多めに持つか、嗜好品を代用します。
山小屋利用 朝食、夕食は小屋で取ります。その他は「日帰りの場合」へ日数分追加します。
テント泊の場合 テント泊となると、大掛かりになります。テント一式と寝袋(シュラフ)や食器(コッヘル)、ガス、水、食料日数分などなど重量も重くなり、体力と気力が充実していないと大変な山行になってしまいます。

危険察知(観天望気、危険回避、状況判断など)

1.観天望気って何?


 観天望気とは、天を観て天気を予想するということです。観天望気の中には、自然現象を観て、予測する場合と、地方により様々な言い伝えが統計学となっている場合があります。
 快適な登山(又はハイキング)をするには、自然現象の穏やかな時に行きたいものです。その為には、天気予報を読んだり、実際現場での観天望気による判断が必要です。また、山行が長期にわたる場合は、短期・長期にわたる天気の流れも読んでおく必要性があります。山行の内容によっては、予報によって中止か変更せざるを得ません。
 いずれにしても山では、気象の変化が著しく変わり、その判断を誤ると遭難になり、生死を分けることにもなりかねません。この最も顕著なものが、雲の動きです。これに伴い、風や雨、雪(みぞれなども)、そして雷などがあります。また、山では快晴でも午後になると雲が発生し、視界を遮ったり、雨を降らせたりします。一般的に、低気圧が近づいてくると天候が悪くなり、高気圧が近づいてくると天候が回復します。

現象別に観ていきます。


日暈 日暈・月暈:巻層雲が出てくると、太陽や月の周りに暈(かさ)の現状が起こります。低気圧の温暖前線の近くに居た場合は、天気が悪化していき、雨を降らせます。
暗雲 暗雲が低く立ち込めてきた場合:高層にあった雲が次第に低くなり、山の稜線を這うようになってきたら、天候悪化の兆しです。早めに小屋に辿り着くようにしましょう。
風の方向:日中に麓から山に向かって吹く風を谷風と呼んでいます。また、夜に山から麓へ吹く風を山風と呼んでいます。これが逆転したり、乱れたら天候悪化の兆しです。山によっては、昔から東風が吹いたら天候の安定で、西風が吹いたら天候悪化の兆しだという言い伝えもあります。
山の稜線上など高い場所では、北から北西、南よりに風が変わっていく場合、低気圧の接近と天候悪化の兆しとなります。剣岳では、南西にある室堂の硫黄の匂いがしたら大荒れになるという言い伝えがあります。
雷:積乱雲が発達し、水分を充分に含んだ黒い雲になります。 雲の中に高電圧の電気が溜まり、雲と雲の間や、雲と大地間で放電する現象で、前者を雲間放電、後者を落雷といっています。この中では、湿気を含んだ、非常に強い上昇気流が発生しており、上空の温度がー10度以下に下がっている場合に雷が発生しやすくなります。ラジオを点け、ノイズの間隔や強さなどの変化を意識します。
気温 気温:晴天をもたらす移動性高気圧の中では、夜間に放射冷却現象が起きて、気温が下がり、冷えます。しかしこれとは逆に気温が上昇するときは、天候悪化の兆しです。日中と夜の気温の差が大きいときは、安定している状態です
気圧 気圧計・湿度計:気圧の変化は、天候の変化を知るものでもあります。携帯天気予報計などを利用します。同じように湿度の変化で天候の変化を知ることができます。高度計は、この気圧の変化を利用したものです。制度はあまりよくありませんが、同じような気象下でどのくらい登ったか?同じ高さでの変化で晴天方向か悪天方向か?が読み取れます。
霧:湿気を多く含む霧は、薄暗く、風が強く吹き、悪天をもたらします。湿気が少なくなり、明るさを感じる霧は、晴れてくる兆しです。
星・夜景 星・夜景:山から夜景や星を観ていると、瞬いている時があります。これは大気中の風が強まったり、寒暖や乾湿の差が生じたために起こるものです。このような状態が続けば悪天の兆しです。
朝焼け
夕焼け
朝焼け・夕焼け:すっきりしない黒味がかかったような焼け方をした場合は、悪天の兆候です。低気圧の接近とともに水蒸気の量が増えたことによるものです。

言い伝えによる観天望気

蛙が鳴いたら:蛙が鳴いたら雨。夕焼けだったら晴。土地の老人や漁師などの予測は良く当たる。暮らしの知恵から生まれた観天望気だ。
夏の夕焼け井戸きって落とせ:夏の夕焼けは大雨が降るから、井戸(田んぼに水を引き入れるため川の流れをせき止めてあるところ)を開いておけ。
朝雨はその日のかんばつ:朝方降り出した雨は、直ぐに止む。
朝雷は隣ざるきもできん:朝に雷が鳴ると、隣へも行けないほどの大雨が降る。
猫が顔を洗うと雨などなど。

2.危険回避と退避法


 雷が接近しているような時は、行動を早めに中止し、安全な所へ退避します。雷は放電現象ですので、何箇所にも落雷します。落雷では、爆風のような側撃波を伴います。
 まず、大勢のパーティーの場合は、分散させます。できれば前後左右の間隔を3メートル空けるようにします。細い稜線や凸地は避け、できるだけ低い姿勢を保ちます。しゃがんだり、腰を落とす程度では安全と言えません。近くに高い木や岩があったら、2メートル離れた場所で、その物に45度の対角線内に居るのが良いと言われています。金属は、放電させるためにある程度身につけていた方が良いとされていますが、頭部の辺りは引き金となる危険性がありますので避けたほうが良いでしょう。
雪崩  雪崩には、点発生と面発生があります。また、滑り面の位置によって「表層雪崩」や「全層雪崩」があります。急激な降雪や降雨後、温度変化の著しい日(春先など)発生しやすくなります。
まず、降雪中にはできるだけ動かないこと。霧やガスによって視界がないときは、動かないこと。(どこから発生したか観ることができない) どうしても行動しなければならないときは、慎重にその状態を読む必要性があります。
急病  まず体調がおかしいと思ったら計画を中止すること。下痢、腹痛は、食べ物だけではなく、山で水を飲んでもなります。一見綺麗に観える水ですが、大腸菌が検出される例も少なくありません。特に上部に小屋があったり、人が良く通る場所の下では飲むのを避けたほうが良いでしょう。剣沢では、弁当を購入し食べたパーティーが食あたりになり、上部の沢で大量の下痢をし流したことによって、その下のテント場の水と小屋の水に大腸菌が流れ、大勢の人がその影響を受けたことがありました。
 日射病は、紫外線の強い山では多く、直射日光を浴び、大量に汗をかき、塩分や糖分とともに水分補給を怠ったために起こります。スポーツドリンクの摂取と塩分糖分の補給が必要です。
 低い山が多い日本でも高山病の症状が出る場合があります。特に海外の登山では、標高にかかわりなく空気が乾燥しているため、3,000mでもその症状が現れます。充分な水分補給と、空気の摂取(深呼吸)、アルコール類を控える。高度順化してからの休憩を心がけるなどの対策が必要です。それでもだめらな急遽、高度を下げる必要性があります。
怪我  擦り傷切り傷、捻挫打撲、筋肉損傷、骨折など山で起こりえる怪我は多く、最悪の場合は、滑落や落石などによる死亡に繋がります。普段から運動を心がけ、バランス感覚を養っておく必要性があります。   怪我をしたら、先ず最初にしなければならないのが、消毒です。綺麗な水で傷口を洗い、消毒して、再びばい菌が入らないようにします。捻挫や打撲は可能な限り冷やします。出血は早めに止めます。大量の場合は、できるだけ食い止め、至急下山し医師に診てもらう必要性があります。骨折の場合は、当て木などをつけ固定します。
道に
迷ったら
まず慌てないことです。水を飲んだり、嗜好品を食べたりして精神を落ち着かせます。
迷ったら、戻るのが鉄則です。確かな場所まで戻りましょう。憶測で進んでは深みにはまります。
それでも分からない時は、見渡せる場所(尾根や山頂)に登ります。けっして下山してはいけません。特に沢での下山は間違いなく滑落します。
宵闇が迫っているような状況下では、1日野宿をするくらいの覚悟を決めます。この場合は、あらゆる知恵を絞り、持っているものを最大限に利用します。ザック、雨具、衣類をまとい、身体が温まるように食事をします。近くに岩屋や大きな木があれば適当な場所を探します。雨や夜露を避けられるだけで格段の違いがあります。
クマに遭遇して
しまったら
クマは、朝夕の食事の時間に特に出て歩きます。向こうも人間が怖いのです。まず落ち着きましょう。慌てて逃げたりしたら弱いものと思い、動物の本能で追いかけてきます。絶対に背中を向けて逃げないことです。逃げても必ず追いつかれてしまいます。登りも下りも木登りも得意です。向こうが諦めるのを待つだけです。強いてするとすれば、相手よりも大きく見せることです。海外では、最終的に細粒ガスを使いますが、日本ではあまり普及していません。いよいよだったらストックで目の当たりを刺すしかありませんかね?そうならないためにも、目前を逸らさず、距離を一定以上保つことです。因みにクマは、ドングリ、笹竹(ネマガリダケ)などが大好物です。このほか、毒害虫にも注意しましょう。
疲労困憊 疲労困憊にならないためにも塩分と糖分と水分(スポーツドリンク)をこまめに摂らなくてはなりません。最近では、アミノバイタル(プロ)など栄養補助食品もありますので、体力に合わせて摂取しましょう。

3.状況判断


どんなに知識をつけていても、最終的な判断は現地で突然やってきます。この状況判断の際に先ず考えなくてはならないのは、安全です。それから弱い人を中心に考えることです。一緒に行ったパーティーの状況、山の状況、天候の状況などをよく観察して、より安全で快適なハイキングを楽しんでもらいたいと存じます。
疲れないトレッキング法
街の歩き方 山の歩き方と街の歩き方は違います。街の歩き方は、トレーニングを兼ねていることと筋力アップが狙いですでの、足をけったり、真っ直ぐ一本のラインに従って歩いたり、階段歩行でも母子球だけを意識して歩いたりします。腕を振り、少し息を弾ませて歩くのが効果的と言われています。
山の歩き方

(疲れない
歩き方)
  1. 山での歩き方は、マラソンと同じように長い距離を疲れないように歩きます。その為には、まず体調を整えておく必要性があります。風をひいていたり、二日酔いだったり、寝不足だったりなどの体調不良は、思うように山を歩けないものですし、危険性が増します。
  2. 歩く前にウォーミングアップをします。車から降りて直ぐ歩くのは、身体が準備できていませんから怪我の元になります。特に足は必ずストレッチします。
  3. 足の置き方は、斜面に逆らわず形状に合わせてフラットに置きます。階段状などでは、できる限り小さなステップになるように刻んで登ります。
  4. 登りにしても下りにしても傾斜が増したら歩幅を小さくして歩きます。このような場所を大股で歩くと、バランスが崩れやすいことと、疲れやすくなります。
  5. 傾斜がきつくなった登りは、逆八の字にすると楽になります。
  6. 山はマイペース。急がず、慌てず、頑張り過ぎないことです。前の人に追いつこうとか、他の人に迷惑を掛けるからなどと、自分の限界を超えるような歩き方は良くありません
  7. 歩き始めはゆっくりと、身体が温まってきたら自分のペースで歩きます。休憩後の歩き出しも同じようにします。
  8. 休憩は、歩き出して30分くらいで休みましょう。荷物が軽かったら、立って休むか軽く何かに腰を下ろす程度にしてください。どっかりと休むと元に戻すのが大変です。
  9. 休憩時には、少しずつ水分と甘いものを補給しましょう。甘いものは直ぐエネルギーになります。汗をたっぷりかいてしまったら、塩分も補給します。スポーツドリンクは有効的です。
  10. 息が苦しくなってきたら、時々深呼吸をしましょう。大きく吐くと大きく吸うことになります。
  11. ザックの荷物は、軽いものを下に。重いものを上にパッキングします。歩いている時にザックがふらつかないように背中にフィットするように固定します。荷物の不安定は、疲れる原因です。
  12. 仲間を選びます。自分勝手な人。不平不満をたれる人。マナーを守らない人などと一緒に行くと、とても疲れます。
  13. 山では疲れてくると血糖値が下がります。山での食べ物で一番血糖値が上がるものは、おにぎりです。
  14. 夏の直射日光を避けるように工夫します。帽子はつばの大きいもの。特に後首に直射日光が当たらないようにします。また、黒い衣類は熱を吸収しますので避けてください。
ストック
の使い方
注意すること
  1. ストックは頼りすぎないこと。バランスを取ること、支えにすることなどの意義でストックを使いますが、特に下りでストックを安定させていないのに、頼ってしまうとバランスが崩れ、転倒、滑落に繋がります。
  2. ストックを持っているときの岩場では、かえって邪魔になり、バランスを崩す原因になります。仲間がいたら持ってもらうか、小さく畳んでザックにくくりつけましょう。
  3. 登りは短く、下りは長めにします。特に下りは安定した場所にしっかり置きましょう。
雨の場合
  1. 雨の程度によって身支度をします。風も無く弱い雨の場合で平坦な道であれば、折畳傘などもOKです。
  2. 風がある場合は、レインスーツ(上下セパレートなもの)を着用します。ロングスパッツがあればレインスーツの内側に着けます。
  3. レイン帽子は、強い風でなければ有効です。周りが良く見えますし、暑苦しくもありません。
  4. 春先や晩秋での雨は、みぞれになったり、風を伴うとかなり冷たいものです。このような時は、レイングローブを着けます。薄手の軍手をインナーに大きめの洗濯用のゴム手袋を併用すると安価で済みます。
高山病対策

標高3000mを超える高地からの緊急移送を要する重症の高山病罹患者が続いて発生しています。
高山病(肺水腫)のため死亡。高山病により昏睡状態に陥り、現地の病院に緊急入院したが、病状が改善しないため、チャーター機で移送され、集中治療室に収容。
高山病による激しい頭痛、下痢により脱水状態となり入院。
高山病による脳浮腫で意識不明となり、商用機で移送、集中治療室に収容。
高山病による脳浮腫で昏睡状態に陥り、現地の病院に緊急入院したが、容態が改善しないためチャーター機で移送され、集中治療室に収容。など観光地でも3000mを越えると危険なことがわかる。

注意事項


1.高山病の発生には体調が大きく影響するので、体調の悪い時は、高地に赴くことは避け、余裕のある日程で行動すること(ツアーに参加する場合は日程をよく確認すること)。

2.高地に着いた際には、アルコール、喫煙及び睡眠薬等の服用は避けるとともに、体調に留意しつつ十分な休養をとること。

3.水分を十分に摂取し、食べ過ぎないこと。

4.必要に応じ、予防薬を服用すること。

5.万一の場合に備え、緊急移送等の内容の充実した海外旅行傷害保険に加入すること。

高山病とは


 高山病とは、低地から低気圧、低酸素の高地に上がったとき、体が順応出来ずに起こる一連の症状を言います。具体的には、標高1500m以下の低地から、2000m以上、特に2500m以上の高地に48時間以内の短時間で到着した場合や、さらにその高度から1日に高度差500m以上上昇した場合に発症します。高山病の発症にはかなり個人差がありますが、一般に高度が高く、上昇速度が速く、睡眠時の高度が高いほど発症率が上がり、重症化します。特に低地から飛行機で一気に高地に上がると症状がでやすくなります。
 例えばペルーのクスコの標高は3400m、ティティカカ湖の標高は3800mで、低地から短時間で上がってきた人の3人に2人が「山酔い」と言われる軽度の高山病を起こします。症状は頭痛、倦怠感、耳鳴り、吐き気、腹部膨満感等で、頭痛は起床時にあり、時間と共に軽減する傾向があります。また、就寝後の頻繁な覚醒や不眠感も典型的な症状の一つです。
 高山病は重症化すると肺に水が溜まる「高地肺水腫」や脳がむくむ「脳浮腫」になり、適切な治療を受けると共に急いで酸素の濃い低地に下りないと死亡することがあります。


高山病予防

1.高地に到着後1週間は過度な運動を避けましょう。高山病の症状は、高地到着直後には出ませんが、到着日に元気に動き回った人ほど発症し易くなります。

2.高地到着日と翌日はアルコールの摂取と睡眠薬の内服は避けましょう。どちらも呼吸を抑制し、高山病を発症し易くします。また、喫煙も好ましくありません。

3.水分を十分取りましょう。アルコール以外の飲み物なら何でも構いません。とにかく水分を沢山摂りましょう。

4.すぐにエネルギーになる炭水化物を多く摂取しましょう。飴を舐めるのは非常に良いことですが、チョコレートは脂肪分が多く、高地では食欲低下の原因になるのでやめた方が良いでしょう。また、食事に米や麺類を食べることは良いことですが、低酸素では消化機能が低下するため、食べ過ぎに注意して下さい。消化薬の服用はお勧めできます。

5.首を激しく振る運動は高山病の引き金になりますので、注意が必要です
6.
寒さ対策を充分に
7 寝ていて、体調が悪いな、頭が痛いななどと感じた場合は、ゆっくり起き出して、大きく深呼吸をしましょう。少し歩いて深呼吸を交えながら大きく腕をゆっくり振るなどの動きを取り入れてみてください。

予防薬の内服


 日本では緑内障の治療薬として販売されているAcetozolamide(商品名:ダイアモックス<DIAMOX>)の内服は高山病の予防効果がある他、不眠を改善したり、起床時の頭痛を緩和させるなど治療薬としても効果があります(ペルー国内でも250mg錠又は500mg錠が販売されており、ペルーの一般の薬局で処方箋無しでも購入可能です。日本では処方箋が必要です。日本旅行医学会のホームページから処方が可能な病院リストをリンクしています。

予防内服方法

1.高地到着の前夜又は当日朝より内服を開始し、到着後3日目まで内服しましょう。

2.1日2回(朝、寝る前)、125mgずつ内服します。1日1回寝る前に250mg内服する方法もあります。また、体重が45kg以下の場合は半分に減量しましょう(ダイアモックス錠は縦横に線が入っており、半分又は1/4に割ることが可能です)。

3.起立時、足底がジンジンしたり、手指の先端を机等に押しつけたときにジンジンする感じがあれば、血液中で薬が最適濃度になっていると言われています。逆に、何もしなくても指先がしびれる場合は、薬の量を半分に減らしましょう。

4.ダイアモックスは利尿作用(尿の量が多くなる作用)がありますので、水分を十分補給して下さい。また、血圧を下げる薬を飲んでいる人は血圧が更に下がってしますことがありますので、内服前に医師に相談して下さい。

5.ダイアモックスは本来、目の病気、緑内障の治療薬です。現在、緑内障の治療を受けている方や、過去に眼圧に異常があった方は、内服前に医師に相談して下さい。

応急法 (応急処置)
山での怪我は医療機関への搬送が遅れるため、手早い応急処置が必要になってきます。必要最低限の対応を覚えておきましょう。また、入山時に管轄の警察や関係機関の連絡先を明記しておきましょう。
救急法の基本 怪我をしている人(症状が出ている人)は、今現在安全な場所であるかどうかを確認します。もし、安全でないと判断したら、怪我の症状を見て安全な場所へ移動します。怪我人を冷静にすることと、応急処置をする本人も落ち着く必要性があります。怪我人が大出血をしているかどうか?意識があるかどうか?確認し、次の対応をします。頭や患部を冷やすと落ち着きやすくなります。
意識があるか
どうか?
怪我人の肩を軽く叩くなどして呼びかけます。「もしもし?」「大丈夫ですか?」とか。それに対して何の反応も無かったら、近くにいる誰かに助けを求めます。「誰か119番に連絡して!」 山の場合は、緊急ヘリを要請するか、山岳警備隊または山小屋などへ救助を要請します。
次に、口腔内に異物があるかどうか?親指と人差し指で口を開け、確認します。ある場合は、異物を吐き出させます。
次に、気道確保です。人差し指で顎を持ち上げ(仰向けに寝ている姿勢から顎を広くします)頬を近づけ、呼吸をしているかどうか確認します。呼吸していない場合は、2回息を吹き込みます。吹き込むと胸が膨れるのを確認します。ここで動きが無ければ心臓マッサージをする必要性があります。人工呼吸と心臓マッサージを4サイクル(成人の場合は、心臓マッサージ15回に対して2回の人工呼吸)を約1分行います。これでも変化がない場合は、救急隊員が来るまで継続します。
意識が戻った場合は、腕と膝を引っ張り、横向けに寝かせます。
出血している
場合
出血している場合は、先ず出血を止めなくてはなりません。その度合いによって対処します。
まず、出血している場所を確認します。出血部を圧迫し、包帯をします。止まった場合は、出血部を高くします。
出血が止まらない場合は、更に圧迫包帯し、止血帯(傷口より心臓に近い部分を包帯などで圧迫して止血する方法)をします。ただし、圧迫止血をし過ぎると、血液が届かない部位が組織的に死んでしまうので注意が必要です。時々弱めたりして、血液を流す必要性があります。
傷口を綺麗に洗うこと、消毒すること、ばい菌が入らないように包帯などをします。
捻挫をした
場合
足首などを捻挫した場合は、できればシップなどで冷やします。テーピングなどで足首を固定します。患部が腫れるなどひどい場合は、他の人に補助してもらいましょう。また、下山後は、病院で診てもらいましょう。
打撲をしている
場合
打撲した箇所を確認します。骨折していないか?内出血していないか?外傷はないか?できれば患部を冷やします。脳や内臓、または背中などを強打した場合は、致命的にもなりかねません。意識の混迷、嘔吐、激しい痛みなどがあった場合は、即行登山を中止し、救急隊を呼ぶなどの対応が必要です。直ぐに病院で診てもらう必要があります。
骨折している
場合
骨折している箇所によって対応が違いますが、一般的に骨折している箇所は、激しい痛みを伴います。ストックや木の枝など利用できるものは添え木として使います。骨折している箇所の固定をします。骨折した箇所が、足の骨や腰の骨など動けない場合は、そこにあるものを利用してタンカーなどを造り、搬送します。
日射病
熱射病
体調が悪い時などで気温の上昇などの影響を受け、発汗などが行われず、体温が上がると、頭痛や吐き気など熱射病の症状が現れます。脱水症状が続くと命にも影響を及ぼします。
まず、日陰などの涼しい場所に移動し、頭部を少し高くして寝かせます。頭部などを冷やし、衣類などの締め付けを緩め、水分を補給させます。
初期症状として、呼吸が苦しくなり、気だるくなります。その後、めまいがして、脈拍や呼吸が速くなります。このようになるような前兆があった場合は、木陰で休み、スポーツドリンクなどを補給しましょう。頭部、首などに直射日光を当てない工夫が必要です。
体温低下
になった場合
雨に打たれ、風に吹かれたりすると体温の低下による症状が起きます。これは、夏だから大丈夫ということはなく、風雨を避け、衣類を脱ぎ、濡れた身体を拭き、着替えをして体温を上げる必要性があります。摩擦による体温の上昇、温かいものを飲むなども効果的です。
風邪を
引いてしまったら
暖かくして、汗をかきます。直ぐに着替えをして、消化のよい温かい物を摂ります。熱がある場合は、頭を冷やします。
靴擦れ、まめ 靴擦れやマメができたしまったら、バンドエイドを貼ります。マメが腫れてしまったら、熱したナイフなどでマメを潰し、その上にバンドエイドを貼っておきます。
疲労困憊
になったら
まず、日陰に休憩し、スポーツドリンク、甘いもの、塩分を補給します。小屋に着いたら、梅干入りの味噌汁を飲み、しばらく休憩すると戻る場合が殆どです。
高山病 「高山病対策」を参照のこと。
リンク 国際救命救急協会 http://www.i-e-m-a.org/
東京救急協会 http://www.teate.jp/index.html
救急法の達人 http://www1.ocn.ne.jp/~tatsujin/rescue/index.html
日本赤十字社 http://www.jrc.or.jp/
講習の薦め 東京救急協会 〒102-0083 東京都千代田区麹町1-12 東京消防庁麹町合同庁舎内 
TEL 03-5276-0995 では、安い費用で救命講習や救命用具販売などを行っております。お時間がある方は、家族で1人は講習を受けられたらいかがでしょうか?また、ご自宅の近くの消防署などでお聞きください。
自分を守るロープワーク(How to knot the Rope[Seilドイツ]?)
地震や火災による脱出や救助の際に、とても役に立つ結び方を最低3つは覚えておきましょう!
ブーリン結び
(もやい結び)

自分の身体に巻きつけるときなどに使う結び方です。しっかり締まり、これ以上小さくなりません。まっすぐ伸びているロープを右に輪を作り、その輪の下から入れ、まっすぐ伸びているロープを下から巻いて再び輪に通します。どうしても覚えておきたい結び方です。
てぐす結び

二本のロープを結ぶ時に使います。一方のロープを巻いて輪を作ります。同じようにもう一方もロープを巻いて輪を作ります。お互いに結び合った結び目を引っ張れば結び目と結び目がぶつかり合って固定されます。ロープが短い場合や、付け足したりする場合に使う結び方です。また、互いに違う太さのロープでもできます。
フィッシャーマンズノット
インク結び

まず輪を作ります。同じ方向に輪をもう1つ作ります。後から作った輪を下にして木などに輪を通します。引っ張ればロープが互いの摩擦によってずれません。自己確保などに使います。また、船を岩壁に固定する際に使う結び方からフィッシャーマンズノットとも呼ばれています。
本結び
この結び方を知っている人は多いと思います。これも2本の端と端を結ぶ結び方です。互いの輪と輪を上下に組んだ結び方で、着物の帯締めなどに使っています。
ふた結び
木などにロープを固定するときに使います。木などにロープを巻いて、下から通し輪の中に入れます。再び伸びているロープの下を通し、新しくできた輪の中へ入れます。それぞれのロープを引っ張って完成です。
カラビナ ロープワークをする際にとても便利な道具です。カラビナにロープを通したり、結んだり、ハーケン(ピトン)に通したりして使います。カラビナによって違いますが、縦方向に3,000kg横方向に800kgの力に耐えます。右のカラビナのように外れないように金具が付いているものもあります。直接ロープが擦れ合わないように、またロープが岩などに擦れないように上手く使います。
末端処理 結んで後に残っているロープの端の部分を使って、もう1つ結び目をつけておきます。これによってロープが緩んでも結び目がぶつかり、外れません。これを末端処理をするといいます。
この他にもたくさんの結び方があります。新聞を束ねて結ぶ方法や小包を結ぶ結び方など身近に便利な結び方を知っていると重宝します。
シュラフを快適に使いこなす
シュラフを十二分に活用するためには、シュラフとマットとシュラフカバーの3点セットが必要です。

シュラフは、保温をするためにあり、ダウンは最も軽く、最も暖かいものです。その暖かさの割合をフィルパワーという単位で現しています。フィルパワーは、ダウンの性能(復元力)を現す単位で数値が高いほど性能が増します。弾性回復力は化繊の1.2倍、就寝中に出る汗約180ccを吸収し、放出してくれる機能があります。使用目的によって購入するものを選びましょう。

マットは、断熱やクッションの役目をします。雪の上など冷たい場所でテントを設営した場合、熱を地面に取られないため、地面の凸凹を吸収するために使用します。これに最適なのは、サーマレストマットなどで、ウレタンの中に空気を注入して使用するものが良いでしょう。少し値段は張りますが、コンパクトに畳めてザックの中に入るのと、暖かく軽いのが特徴です。

シュラフカバーは、シュラフの中の暖かい空気を閉じ込め、保温性を高めることと、外部からの濡れや汚れからシュラフを守る役目をします。また、就寝中にかいた汗を放出する役目もあります。そのためには、ゴアテックスが一番適しています。

テントには、接地面全体に薄い銀マットを引いておくとなお良いでしょう。

足元は折り畳みの軽いマットなどが重宝します。(意外と足が冷たい) また、テントシューズがあればなお暖かく眠れます。(トイレに出るときも雪だったらテントシューズで出られます)プラスチックブーツなどであれば、インナーをテントシューズ代わりにすることができます。

枕は、枕にしたいくらいの大きさのナイロン製の袋を用意します。替え着や手袋、帽子などを詰め込み、形を整えて枕にします。

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