Walk Trekking Climbing

危険察知(観天望気、危険回避、状況判断など)

1.観天望気って何?


 観天望気とは、天を観て天気を予想するということです。観天望気の中には、自然現象を観て、予測する場合と、地方により様々な言い伝えが統計学となっている場合があります。
 快適な登山(又はハイキング)をするには、自然現象の穏やかな時に行きたいものです。その為には、天気予報を読んだり、実際現場での観天望気による判断が必要です。また、山行が長期にわたる場合は、短期・長期にわたる天気の流れも読んでおく必要性があります。山行の内容によっては、予報によって中止か変更せざるを得ません。
 いずれにしても山では、気象の変化が著しく変わり、その判断を誤ると遭難になり、生死を分けることにもなりかねません。この最も顕著なものが、雲の動きです。これに伴い、風や雨、雪(みぞれなども)、そして雷などがあります。また、山では快晴でも午後になると雲が発生し、視界を遮ったり、雨を降らせたりします。一般的に、低気圧が近づいてくると天候が悪くなり、高気圧が近づいてくると天候が回復します。

現象別に観ていきます。


日暈 日暈・月暈:巻層雲が出てくると、太陽や月の周りに暈(かさ)の現状が起こります。低気圧の温暖前線の近くに居た場合は、天気が悪化していき、雨を降らせます。
暗雲 暗雲が低く立ち込めてきた場合:高層にあった雲が次第に低くなり、山の稜線を這うようになってきたら、天候悪化の兆しです。早めに小屋に辿り着くようにしましょう。
風の方向:日中に麓から山に向かって吹く風を谷風と呼んでいます。また、夜に山から麓へ吹く風を山風と呼んでいます。これが逆転したり、乱れたら天候悪化の兆しです。山によっては、昔から東風が吹いたら天候の安定で、西風が吹いたら天候悪化の兆しだという言い伝えもあります。
山の稜線上など高い場所では、北から北西、南よりに風が変わっていく場合、低気圧の接近と天候悪化の兆しとなります。剣岳では、南西にある室堂の硫黄の匂いがしたら大荒れになるという言い伝えがあります。
雷:積乱雲が発達し、水分を充分に含んだ黒い雲になります。雲の中に高電圧の電気が溜まり、雲と雲の間や、雲と大地間で放電する現象で、前者を雲間放電、後者を落雷といっています。この中では、 湿気を含んだ、非常に強い上昇気流が発生しており、上空の温度がー10度以下に下がっている場合に雷が発生しやすくなります。ラジオを点け、ノイズの間隔や強さなどの変化を意識します。
気温 気温:晴天をもたらす移動性高気圧の中では、夜間に放射冷却現象が起きて、気温が下がり、冷えます。しかしこれとは逆に気温が上昇するときは、天候悪化の兆しです。日中と夜の気温の差が大きいときは、安定している状態です
気圧 気圧計・湿度計:気圧の変化は、天候の変化を知るものでもあります。携帯天気予報計などを利用します。同じように湿度の変化で天候の変化を知ることができます。高度計は、この気圧の変化を利用したものです。制度はあまりよくありませんが、同じような気象下でどのくらい登ったか?同じ高さでの変化で晴天方向か悪天方向か?が読み取れます。
霧:湿気を多く含む霧は、薄暗く、風が強く吹き、悪天をもたらします。湿気が少なくなり、明るさを感じる霧は、晴れてくる兆しです。
星・夜景 星・夜景:山から夜景や星を観ていると、瞬いている時があります。これは大気中の風が強まったり、寒暖や乾湿の差が生じたために起こるものです。このような状態が続けば悪天の兆しです。
朝焼け
夕焼け
朝焼け・夕焼け:すっきりしない黒味がかかったような焼け方をした場合は、悪天の兆候です。低気圧の接近とともに水蒸気の量が増えたことによるものです。

言い伝えによる観天望気

蛙が鳴いたら:蛙が鳴いたら雨。夕焼けだったら晴。土地の老人や漁師などの予測は良く当たる。暮らしの知恵から生まれた観天望気だ。
夏の夕焼け井戸きって落とせ:夏の夕焼けは大雨が降るから、井戸(田んぼに水を引き入れるため川の流れをせき止めてあるところ)を開いておけ。
朝雨はその日のかんばつ:朝方降り出した雨は、直ぐに止む。
朝雷は隣ざるきもできん:朝に雷が鳴ると、隣へも行けないほどの大雨が降る。
猫が顔を洗うと雨などなど。

2.危険回避と退避法


 雷が接近しているような時は、行動を早めに中止し、安全な所へ退避します。雷は放電現象ですので、何箇所にも落雷します。落雷では、爆風のような側撃波を伴います。
 まず、大勢のパーティーの場合は、分散させます。できれば前後左右の間隔を3メートル空けるようにします。細い稜線や凸地は避け、できるだけ低い姿勢を保ちます。しゃがんだり、腰を落とす程度では安全と言えません。近くに高い木や岩があったら、2メートル離れた場所で、その物に45度の対角線内に居るのが良いと言われています。金属は、放電させるためにある程度身につけていた方が良いとされていますが、頭部の辺りは引き金となる危険性がありますので避けたほうが良いでしょう。
雪崩  雪崩には、点発生と面発生があります。また、滑り面の位置によって「表層雪崩」や「全層雪崩」があります。急激な降雪や降雨後、温度変化の著しい日(春先など)発生しやすくなります。
まず、降雪中にはできるだけ動かないこと。霧やガスによって視界がないときは、動かないこと。(どこから発生したか観ることができない) どうしても行動しなければならないときは、慎重にその状態を読む必要性があります。
急病  まず体調がおかしいと思ったら計画を中止すること。下痢、腹痛は、食べ物だけではなく、山で水を飲んでもなります。一見綺麗に観える水ですが、大腸菌が検出される例も少なくありません。特に上部に小屋があったり、人が良く通る場所の下では飲むのを避けたほうが良いでしょう。剣沢では、弁当を購入し食べたパーティーが食あたりになり、上部の沢で大量の下痢をし流したことによって、その下のテント場の水と小屋の水に大腸菌が流れ、大勢の人がその影響を受けたことがありました。
 日射病は、紫外線の強い山では多く、直射日光を浴び、大量に汗をかき、塩分や糖分とともに水分補給を怠ったために起こります。スポーツドリンクの摂取と塩分糖分の補給が必要です。
 低い山が多い日本でも高山病の症状が出る場合があります。特に海外の登山では、標高にかかわりなく空気が乾燥しているため、3,000mでもその症状が現れます。充分な水分補給と、空気の摂取(深呼吸)、アルコール類を控える。高度順化してからの休憩を心がけるなどの対策が必要です。それでもだめらな急遽、高度を下げる必要性があります。
怪我  擦り傷切り傷、捻挫打撲、筋肉損傷、骨折など山で起こりえる怪我は多く、最悪の場合は、滑落や落石などによる死亡に繋がります。普段から運動を心がけ、バランス感覚を養っておく必要性があります。   怪我をしたら、先ず最初にしなければならないのが、消毒です。綺麗な水で傷口を洗い、消毒して、再びばい菌が入らないようにします。捻挫や打撲は可能な限り冷やします。出血は早めに止めます。大量の場合は、できるだけ食い止め、至急下山し医師に診てもらう必要性があります。骨折の場合は、当て木などをつけ固定します。
道に
迷ったら
まず慌てないことです。水を飲んだり、嗜好品を食べたりして精神を落ち着かせます。
迷ったら、戻るのが鉄則です。確かな場所まで戻りましょう。憶測で進んでは深みにはまります。
それでも分からない時は、見渡せる場所(尾根や山頂)に登ります。けっして下山してはいけません。特に沢での下山は間違いなく滑落します。
宵闇が迫っているような状況下では、1日野宿をするくらいの覚悟を決めます。この場合は、あらゆる知恵を絞り、持っているものを最大限に利用します。ザック、雨具、衣類をまとい、身体が温まるように食事をします。近くに岩屋や大きな木があれば適当な場所を探します。雨や夜露を避けられるだけで格段の違いがあります。
クマに遭遇して
しまったら
クマは、朝夕の食事の時間に特に出て歩きます。向こうも人間が怖いのです。まず落ち着きましょう。慌てて逃げたりしたら弱いものと思い、動物の本能で追いかけてきます。絶対に背中を向けて逃げないことです。逃げても必ず追いつかれてしまいます。登りも下りも木登りも得意です。向こうが諦めるのを待つだけです。強いてするとすれば、相手よりも大きく見せることです。海外では、最終的に細粒ガスを使いますが、日本ではあまり普及していません。いよいよだったらストックで目の当たりを刺すしかありませんかね?そうならないためにも、目前を逸らさず、距離を一定以上保つことです。因みにクマは、ドングリ、笹竹(ネマガリダケ)などが大好物です。このほか、毒害虫にも注意しましょう。
疲労困憊 疲労困憊にならないためにも塩分と糖分と水分(スポーツドリンク)をこまめに摂らなくてはなりません。最近では、アミノバイタル(プロ)など栄養補助食品もありますので、体力に合わせて摂取しましょう。

3.状況判断


どんなに知識をつけていても、最終的な判断は現地で突然やってきます。この状況判断の際に先ず考えなくてはならないのは、安全です。それから弱い人を中心に考えることです。一緒に行ったパーティーの状況、山の状況、天候の状況などをよく観察して、より安全で快適なハイキングを楽しんでもらいたいと存じます。
疲れないトレッキング法
街の歩き方 山の歩き方と街の歩き方は違います。街の歩き方は、トレーニングを兼ねていることと筋力アップが狙いですでの、足をけったり、真っ直ぐ一本のラインに従って歩いたり、階段歩行でも母子球だけを意識して歩いたりします。腕を振り、少し息を弾ませて歩くのが効果的と言われています。
山の歩き方

(疲れない
歩き方)
  1. 山での歩き方は、マラソンと同じように長い距離を疲れないように歩きます。その為には、まず体調を整えておく必要性があります。風をひいていたり、二日酔いだったり、寝不足だったりなどの体調不良は、思うように山を歩けないものですし、危険性が増します。
  2. 歩く前にウォーミングアップをします。車から降りて直ぐ歩くのは、身体が準備できていませんから怪我の元になります。特に足は必ずストレッチします。
  3. 足の置き方は、斜面に逆らわず形状に合わせてフラットに置きます。階段状などでは、できる限り小さなステップになるように刻んで登ります。
  4. 登りにしても下りにしても傾斜が増したら歩幅を小さくして歩きます。このような場所を大股で歩くと、バランスが崩れやすいことと、疲れやすくなります。
  5. 傾斜がきつくなった登りは、逆八の字にすると楽になります。
  6. 山はマイペース。急がず、慌てず、頑張り過ぎないことです。前の人に追いつこうとか、他の人に迷惑を掛けるからなどと、自分の限界を超えるような歩き方は良くありません
  7. 歩き始めはゆっくりと、身体が温まってきたら自分のペースで歩きます。休憩後の歩き出しも同じようにします。
  8. 休憩は、歩き出して30分くらいで休みましょう。荷物が軽かったら、立って休むか軽く何かに腰を下ろす程度にしてください。どっかりと休むと元に戻すのが大変です。
  9. 休憩時には、少しずつ水分と甘いものを補給しましょう。甘いものは直ぐエネルギーになります。汗をたっぷりかいてしまったら、塩分も補給します。スポーツドリンクは有効的です。
  10. 息が苦しくなってきたら、時々深呼吸をしましょう。大きく吐くと大きく吸うことになります。
  11. ザックの荷物は、軽いものを下に。重いものを上にパッキングします。歩いている時にザックがふらつかないように背中にフィットするように固定します。荷物の不安定は、疲れる原因です。
  12. 仲間を選びます。自分勝手な人。不平不満をたれる人。マナーを守らない人などと一緒に行くと、とても疲れます。
  13. 山では疲れてくると血糖値が下がります。山での食べ物で一番血糖値が上がるものは、おにぎりです。
  14. 夏の直射日光を避けるように工夫します。帽子はつばの大きいもの。特に後首に直射日光が当たらないようにします。また、黒い衣類は熱を吸収しますので避けてください。
ストック
の使い方
注意すること
  1. ストックは頼りすぎないこと。バランスを取ること、支えにすることなどの意義でストックを使いますが、特に下りでストックを安定させていないのに、頼ってしまうとバランスが崩れ、転倒、滑落に繋がります。
  2. ストックを持っているときの岩場では、かえって邪魔になり、バランスを崩す原因になります。仲間がいたら持ってもらうか、小さく畳んでザックにくくりつけましょう。
  3. 登りは短く、下りは長めにします。特に下りは安定した場所にしっかり置きましょう。
雨の場合
  1. 雨の程度によって身支度をします。風も無く弱い雨の場合で平坦な道であれば、折畳傘などもOKです。
  2. 風がある場合は、レインスーツ(上下セパレートなもの)を着用します。ロングスパッツがあればレインスーツの内側に着けます。
  3. レイン帽子は、強い風でなければ有効です。周りが良く見えますし、暑苦しくもありません。
  4. 春先や晩秋での雨は、みぞれになったり、風を伴うとかなり冷たいものです。このような時は、レイングローブを着けます。薄手の軍手をインナーに大きめの洗濯用のゴム手袋を併用すると安価で済みます。
高山病対策

標高3000mを超える高地からの緊急移送を要する重症の高山病罹患者が続いて発生しています。
高山病(肺水腫)のため死亡。高山病により昏睡状態に陥り、現地の病院に緊急入院したが、病状が改善しないため、チャーター機で移送され、集中治療室に収容。
高山病による激しい頭痛、下痢により脱水状態となり入院。
高山病による脳浮腫で意識不明となり、商用機で移送、集中治療室に収容。
高山病による脳浮腫で昏睡状態に陥り、現地の病院に緊急入院したが、容態が改善しないためチャーター機で移送され、集中治療室に収容。など観光地でも3000mを越えると危険なことがわかる。

注意事項


1.高山病の発生には体調が大きく影響するので、体調の悪い時は、高地に赴くことは避け、余裕のある日程で行動すること(ツアーに参加する場合は日程をよく確認すること)。

2.高地に着いた際には、アルコール、喫煙及び睡眠薬等の服用は避けるとともに、体調に留意しつつ十分な休養をとること。

3.水分を十分に摂取し、食べ過ぎないこと。

4.必要に応じ、予防薬を服用すること。

5.万一の場合に備え、緊急移送等の内容の充実した海外旅行傷害保険に加入すること。

高山病とは


 高山病とは、低地から低気圧、低酸素の高地に上がったとき、体が順応出来ずに起こる一連の症状を言います。具体的には、標高1500m以下の低地から、2000m以上、特に2500m以上の高地に48時間以内の短時間で到着した場合や、さらにその高度から1日に高度差500m以上上昇した場合に発症します。高山病の発症にはかなり個人差がありますが、一般に高度が高く、上昇速度が速く、睡眠時の高度が高いほど発症率が上がり、重症化します。特に低地から飛行機で一気に高地に上がると症状がでやすくなります。
 例えばペルーのクスコの標高は3400m、ティティカカ湖の標高は3800mで、低地から短時間で上がってきた人の3人に2人が「山酔い」と言われる軽度の高山病を起こします。症状は頭痛、倦怠感、耳鳴り、吐き気、腹部膨満感等で、頭痛は起床時にあり、時間と共に軽減する傾向があります。また、就寝後の頻繁な覚醒や不眠感も典型的な症状の一つです。
 高山病は重症化すると肺に水が溜まる「高地肺水腫」や脳がむくむ「脳浮腫」になり、適切な治療を受けると共に急いで酸素の濃い低地に下りないと死亡することがあります。


高山病予防

1.高地に到着後1週間は過度な運動を避けましょう。高山病の症状は、高地到着直後には出ませんが、到着日に元気に動き回った人ほど発症し易くなります。

2.高地到着日と翌日はアルコールの摂取と睡眠薬の内服は避けましょう。どちらも呼吸を抑制し、高山病を発症し易くします。また、喫煙も好ましくありません。

3.水分を十分取りましょう。アルコール以外の飲み物なら何でも構いません。とにかく水分を沢山摂りましょう。

4.すぐにエネルギーになる炭水化物を多く摂取しましょう。飴を舐めるのは非常に良いことですが、チョコレートは脂肪分が多く、高地では食欲低下の原因になるのでやめた方が良いでしょう。また、食事に米や麺類を食べることは良いことですが、低酸素では消化機能が低下するため、食べ過ぎに注意して下さい。消化薬の服用はお勧めできます。

5.首を激しく振る運動は高山病の引き金になりますので、注意が必要です
6.
寒さ対策を充分に
7 寝ていて、体調が悪いな、頭が痛いななどと感じた場合は、ゆっくり起き出して、大きく深呼吸をしましょう。少し歩いて深呼吸を交えながら大きく腕をゆっくり振るなどの動きを取り入れてみてください。

予防薬の内服


 日本では緑内障の治療薬として販売されているAcetozolamide(商品名:ダイアモックス<DIAMOX>)の内服は高山病の予防効果がある他、不眠を改善したり、起床時の頭痛を緩和させるなど治療薬としても効果があります(ペルー国内でも250mg錠又は500mg錠が販売されており、ペルーの一般の薬局で処方箋無しでも購入可能です。日本では処方箋が必要です。日本旅行医学会のホームページから処方が可能な病院リストをリンクしています。

予防内服方法

1.高地到着の前夜又は当日朝より内服を開始し、到着後3日目まで内服しましょう。

2.1日2回(朝、寝る前)、125mgずつ内服します。1日1回寝る前に250mg内服する方法もあります。また、体重が45kg以下の場合は半分に減量しましょう(ダイアモックス錠は縦横に線が入っており、半分又は1/4に割ることが可能です)。

3.起立時、足底がジンジンしたり、手指の先端を机等に押しつけたときにジンジンする感じがあれば、血液中で薬が最適濃度になっていると言われています。逆に、何もしなくても指先がしびれる場合は、薬の量を半分に減らしましょう。

4.ダイアモックスは利尿作用(尿の量が多くなる作用)がありますので、水分を十分補給して下さい。また、血圧を下げる薬を飲んでいる人は血圧が更に下がってしますことがありますので、内服前に医師に相談して下さい。

5.ダイアモックスは本来、目の病気、緑内障の治療薬です。現在、緑内障の治療を受けている方や、過去に眼圧に異常があった方は、内服前に医師に相談して下さい。

応急法 (応急処置)
山での怪我は医療機関への搬送が遅れるため、手早い応急処置が必要になってきます。必要最低限の対応を覚えておきましょう。また、入山時に管轄の警察や関係機関の連絡先を明記しておきましょう。
救急法の基本 怪我をしている人(症状が出ている人)は、今現在安全な場所であるかどうかを確認します。もし、安全でないと判断したら、怪我の症状を見て安全な場所へ移動します。怪我人を冷静にすることと、応急処置をする本人も落ち着く必要性があります。怪我人が大出血をしているかどうか?意識があるかどうか?確認し、次の対応をします。頭や患部を冷やすと落ち着きやすくなります。
意識があるか
どうか?
怪我人の肩を軽く叩くなどして呼びかけます。「もしもし?」「大丈夫ですか?」とか。それに対して何の反応も無かったら、近くにいる誰かに助けを求めます。「誰か119番に連絡して!」 山の場合は、緊急ヘリを要請するか、山岳警備隊または山小屋などへ救助を要請します。
次に、口腔内に異物があるかどうか?親指と人差し指で口を開け、確認します。ある場合は、異物を吐き出させます。
次に、気道確保です。人差し指で顎を持ち上げ(仰向けに寝ている姿勢から顎を広くします)頬を近づけ、呼吸をしているかどうか確認します。呼吸していない場合は、2回息を吹き込みます。吹き込むと胸が膨れるのを確認します。ここで動きが無ければ心臓マッサージをする必要性があります。人工呼吸と心臓マッサージを4サイクル(成人の場合は、心臓マッサージ15回に対して2回の人工呼吸)を約1分行います。これでも変化がない場合は、救急隊員が来るまで継続します。
意識が戻った場合は、腕と膝を引っ張り、横向けに寝かせます。
出血している
場合
出血している場合は、先ず出血を止めなくてはなりません。その度合いによって対処します。
まず、出血している場所を確認します。出血部を圧迫し、包帯をします。止まった場合は、出血部を高くします。
出血が止まらない場合は、更に圧迫包帯し、止血帯(傷口より心臓に近い部分を包帯などで圧迫して止血する方法)をします。ただし、圧迫止血をし過ぎると、血液が届かない部位が組織的に死んでしまうので注意が必要です。時々弱めたりして、血液を流す必要性があります。
傷口を綺麗に洗うこと、消毒すること、ばい菌が入らないように包帯などをします。
捻挫をした
場合
足首などを捻挫した場合は、できればシップなどで冷やします。テーピングなどで足首を固定します。患部が腫れるなどひどい場合は、他の人に補助してもらいましょう。また、下山後は、病院で診てもらいましょう。
打撲をしている
場合
打撲した箇所を確認します。骨折していないか?内出血していないか?外傷はないか?できれば患部を冷やします。脳や内臓、または背中などを強打した場合は、致命的にもなりかねません。意識の混迷、嘔吐、激しい痛みなどがあった場合は、即行登山を中止し、救急隊を呼ぶなどの対応が必要です。直ぐに病院で診てもらう必要があります。
骨折している
場合
骨折している箇所によって対応が違いますが、一般的に骨折している箇所は、激しい痛みを伴います。ストックや木の枝など利用できるものは添え木として使います。骨折している箇所の固定をします。骨折した箇所が、足の骨や腰の骨など動けない場合は、そこにあるものを利用してタンカーなどを造り、搬送します。
日射病
熱射病
体調が悪い時などで気温の上昇などの影響を受け、発汗などが行われず、体温が上がると、頭痛や吐き気など熱射病の症状が現れます。脱水症状が続くと命にも影響を及ぼします。
まず、日陰などの涼しい場所に移動し、頭部を少し高くして寝かせます。頭部などを冷やし、衣類などの締め付けを緩め、水分を補給させます。
初期症状として、呼吸が苦しくなり、気だるくなります。その後、めまいがして、脈拍や呼吸が速くなります。このようになるような前兆があった場合は、木陰で休み、スポーツドリンクなどを補給しましょう。頭部、首などに直射日光を当てない工夫が必要です。
体温低下
になった場合
雨に打たれ、風に吹かれたりすると体温の低下による症状が起きます。これは、夏だから大丈夫ということはなく、風雨を避け、衣類を脱ぎ、濡れた身体を拭き、着替えをして体温を上げる必要性があります。摩擦による体温の上昇、温かいものを飲むなども効果的です。
風邪を
引いてしまったら
暖かくして、汗をかきます。直ぐに着替えをして、消化のよい温かい物を摂ります。熱がある場合は、頭を冷やします。
靴擦れ、まめ 靴擦れやマメができたしまったら、バンドエイドを貼ります。マメが腫れてしまったら、熱したナイフなどでマメを潰し、その上にバンドエイドを貼っておきます。
疲労困憊
になったら
まず、日陰に休憩し、スポーツドリンク、甘いもの、塩分を補給します。小屋に着いたら、梅干入りの味噌汁を飲み、しばらく休憩すると戻る場合が殆どです。
高山病 「高山病対策」を参照のこと。
リンク 国際救命救急協会 http://www.i-e-m-a.org/
東京救急協会 http://www.teate.jp/index.html
救急法の達人 http://www1.ocn.ne.jp/~tatsujin/rescue/index.html
日本赤十字社 http://www.jrc.or.jp/
講習の薦め 東京救急協会 〒102-0083 東京都千代田区麹町1-12 東京消防庁麹町合同庁舎内 
TEL 03-5276-0995 では、安い費用で救命講習や救命用具販売などを行っております。お時間がある方は、家族で1人は講習を受けられたらいかがでしょうか?また、ご自宅の近くの消防署などでお聞きください。
自分を守るロープワーク(How to knot the Rope[Seilドイツ]?)
地震や火災による脱出や救助の際に、とても役に立つ結び方を最低3つは覚えておきましょう!
ブーリン結び
(もやい結び)

自分の身体に巻きつけるときなどに使う結び方です。しっかり締まり、これ以上小さくなりません。まっすぐ伸びているロープを右に輪を作り、その輪の下から入れ、まっすぐ伸びているロープを下から巻いて再び輪に通します。どうしても覚えておきたい結び方です。
てぐす結び

二本のロープを結ぶ時に使います。一方のロープを巻いて輪を作ります。同じようにもう一方もロープを巻いて輪を作ります。お互いに結び合った結び目を引っ張れば結び目と結び目がぶつかり合って固定されます。ロープが短い場合や、付け足したりする場合に使う結び方です。また、互いに違う太さのロープでもできます。
フィッシャーマンズノット
インク結び

まず輪を作ります。同じ方向に輪をもう1つ作ります。後から作った輪を下にして木などに輪を通します。引っ張ればロープが互いの摩擦によってずれません。自己確保などに使います。また、船を岩壁に固定する際に使う結び方からフィッシャーマンズノットとも呼ばれています。
本結び
この結び方を知っている人は多いと思います。これも2本の端と端を結ぶ結び方です。互いの輪と輪を上下に組んだ結び方で、着物の帯締めなどに使っています。
ふた結び
木などにロープを固定するときに使います。木などにロープを巻いて、下から通し輪の中に入れます。再び伸びているロープの下を通し、新しくできた輪の中へ入れます。それぞれのロープを引っ張って完成です。
カラビナ ロープワークをする際にとても便利な道具です。カラビナにロープを通したり、結んだり、ハーケン(ピトン)に通したりして使います。カラビナによって違いますが、縦方向に3,000kg横方向に800kgの力に耐えます。右のカラビナのように外れないように金具が付いているものもあります。直接ロープが擦れ合わないように、またロープが岩などに擦れないように上手く使います。
末端処理 結んで後に残っているロープの端の部分を使って、もう1つ結び目をつけておきます。これによってロープが緩んでも結び目がぶつかり、外れません。これを末端処理をするといいます。
この他にもたくさんの結び方があります。新聞を束ねて結ぶ方法や小包を結ぶ結び方など身近に便利な結び方を知っていると重宝します。
シュラフを快適に使いこなす
シュラフを十二分に活用するためには、シュラフとマットとシュラフカバーの3点セットが必要です。

シュラフは、保温をするためにあり、ダウンは最も軽く、最も暖かいものです。その暖かさの割合をフィルパワーという単位で現しています。フィルパワーは、ダウンの性能(復元力)を現す単位で数値が高いほど性能が増します。弾性回復力は化繊の1.2倍、就寝中に出る汗約180ccを吸収し、放出してくれる機能があります。使用目的によって購入するものを選びましょう。

マットは、断熱やクッションの役目をします。雪の上など冷たい場所でテントを設営した場合、熱を地面に取られないため、地面の凸凹を吸収するために使用します。これに最適なのは、サーマレストマットなどで、ウレタンの中に空気を注入して使用するものが良いでしょう。少し値段は張りますが、コンパクトに畳めてザックの中に入るのと、暖かく軽いのが特徴です。

シュラフカバーは、シュラフの中の暖かい空気を閉じ込め、保温性を高めることと、外部からの濡れや汚れからシュラフを守る役目をします。また、就寝中にかいた汗を放出する役目もあります。そのためには、ゴアテックスが一番適しています。

テントには、接地面全体に薄い銀マットを引いておくとなお良いでしょう。

足元は折り畳みの軽いマットなどが重宝します。(意外と足が冷たい) また、テントシューズがあればなお暖かく眠れます。(トイレに出るときも雪だったらテントシューズで出られます)プラスチックブーツなどであれば、インナーをテントシューズ代わりにすることができます。

枕は、枕にしたいくらいの大きさのナイロン製の袋を用意します。替え着や手袋、帽子などを詰め込み、形を整えて枕にします。
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